加納 朋子

てるてるあした

てるてるあした

著者:加納 朋子

刊行:2005年5月

評価:★★★★★★☆☆☆☆ 6点

ストーリー:高校入学を控えた春休み、照代は親の借金のせいで夜逃げする羽目になった。母親の遠い親戚だという会ったこともない老女を訪ねて、照代は一人佐々良という街を訪れる。彼女が一緒に暮らすことになったのは、口うるさいお婆さん、久代だった。自分の不幸を嘆いてばかりで素直になれない照代。しかたないと色んなことを諦め我慢する照代。そんな照代のもとに、不思議なメールが届くようになった。差出人の解らない不思議なメール。「てるてる あした。きょうはないても あしたはわらう。」そんな意味不明なメールに励まされるように、照代は少しずつ心を開いていった。

感想:なかなか心暖まるファンタジー作品だった。優しくするだけが優しさではない、照代を見守る本当の優しさが感じられる。が、それよりも強く感じてしまうのは、「なんて無責任な親なんだ!!」ってことだ。

多分、作者の伝えたいことはそんなことじゃないだろう。もっと何かほんのり暖かいものを感じ取って欲しいはずだ。でも、私がひねくれているせいか、照代の両親の理不尽さが許せないという思いが真っ先に湧いてくる。確かに、照代の母親も可哀想だと思う。心に傷も残っているだろう。だからって同じ事を自分の子供にしても良い理由にはならない。だったら最初から人の親になんかなるなって感じ。しかも全てが明らかになってからも、照代とは離れて暮らしている。弱い人なんですね、きっと。同情してしまう部分もあるけれど、子供のことを考えると「自分だけが可愛いの?」と少し責めたくなってくる。

突然降りかかった不幸のせいで、他人に対してひねくれて感じてしまう照代。突然の不幸のせいだけじゃないだろう。幼い頃から親の愛情に疑いを持ちながら育てば、きっとそうなる。久代のもとでお世話になって、自分の立場を理解しているから、思っても口に出さない反抗的な気持ち。口に出さないだけでも十分偉いと思う。俺ならこんな理不尽な不幸がふりかかったら、誰彼かまわず当たり散らしてしまうかもしれない。

そんな照代は久代や佐々良の人達のお陰で素直になっていく。真実が明らかになった時も全てを受け入れる。このどうしようも無い母親さえもやさしく包み込んでいる。「親がだらしない分、子供が立派過ぎないか?」と、またひねくれて考えてしまった。自分だけが可愛い母親と父性のまったく感じられない父親。この二人を無視すれば、久代の厳しい優しさやサヤさんの真っ直ぐなやさしさ、エリカさんのアナーキーなやさしさ、お婆さんたちのおせっかいなやさしさ、子供達の純真なやさしさ、いろんなやさしさに溢れた良い作品だったと思う。

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