君たちに明日はない
著者:垣根 涼介
刊行:2005年3月
評点:★★★★★★☆☆☆☆ 6点
ストーリー:リストラ請負会社に勤める村上真介。リストラ面接官とリストラ対象者たちの人間ドラマを描いた連作短編集。
部下の業績を自分に付け替え、その上女性社員に手をつけるセクハラ上司。「今のプロジェクトが終るまでは絶対に辞めない」と啖呵を切るバツイチ40女。「今の仕事さえ出来ればポストも給料も関係ない」と子供のように泣いて駄々をこねるオタク主任。合併された側という弱い立場で、やりたくもない仕事を悶々と処理するだけの学生時代の友人。だらしない恋人、無言の期待を寄せる両親、リストラ候補の私、八方ふさがりな女。安定堅実男と浪花節男、リストラさせるのはどちらか一人。
今の仕事に明るい未来がない時、突然会社から肩を叩かれた時、人は色んな反応を見せる。そしてそんな人にも色んな事情や背負っているモノがある。もちろんリストラ面接官にも。
感想:ある作品を読んだ時にどう感じるのか、それは、その時自分を取り巻く状況によって変ってくる。読む人によって感想が異なるのは当然だが、同じ人が読んでも読むタイミングによって思うことは変るだろう。そして私は非常に微妙なタイミングで本作を読んでしまった。
今、私も仕事に対して悩んでいる。いや、正確に言うと就職してから常に悩み続けてきた。「今の仕事は本当に自分がやりたい仕事なのか」と。他人が語れば青臭く感じる。目の前の仕事もこなせないで理想を語るな、そんな奴は何をやっても隣の芝が青く見えるだけだ。確かにそう思う。でも割り切れない。
幸い私はリストラ対象になったことが無い。でも、リストラを切っ掛けに「仕事」というものに向き合い、悩む彼らの気持ちは解るつもりだ。普段、辞めてやると思っていてもいざ辞めるとなると「じゃ、自分に何ができるのか」と不安になる。やりたいことが有っても本当に自分にできるか怖くなるし、自信があってもそのステージに立たせてもらえないことだってある。現在、選り好みさえしなければ殆どの人は何らかの仕事に就くことができるだろう。割り切って生活のためだけに働く人だっている。特に興味も無い仕事を誇りも無く食うためだけに淡々とこなす。言葉にすると馬鹿にしたようになってしまうが、悩むだけの今の私は、そんな人達よりもずっと劣った人間に思えてしまう。
仕事にやりがいを感じることだってあった。出来るならこんな仕事をしたいという思いもある。だけど今の私の状況は違う。本作のリストラされた人々。フィクションの世界ではあるが、リストラされて幸せになった人達は「覚悟」があった。リアルに生きる人達と同じように悩みや不安を抱えながら、最後には覚悟した。私にも覚悟が必要なのだと思う。割り切る覚悟なのか、飛び出す覚悟なのか、あきらめる覚悟なのか、こだわる覚悟なのか。弱い私はその覚悟の決め方ですら悩んでしまうのだ。
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