行きずりの街
著者:志水 辰夫
刊行:1990年12月
評価:★★★★☆☆☆☆☆☆ 4点
ストーリー:12年前、一人の高校教師が教え子との恋愛を問題とされ東京を追われた。郷里で塾の講師をしていた元教師は、失踪した生徒を探しに再び東京へ戻って来る。かつて自分を追い出した憎むべき存在との遭遇、昔確かに愛し合い夫妻として暮らしていた教え子との再会。失踪した生徒を捜索する過程で、男は避け続けていた自身の過去に触れることになる。そして男は生徒の失踪と、自分を追放した学園が関係する不正とが繋がっていることを知る。自身が追放された本当の理由も。12年前の過去を清算するため、そして生徒を取り戻すため、男は憎むべき相手と対峙することを決意する。
感想:「1991年度このミステリーがすごい!第1位」という帯に惹かれて本書を購入した。第1位に選ばれる位だからどんなに凄いミステリーなのだろうと、読み始める前はワクワクした。そして読み終わってみて・・・。
正直な感想として、少しがっかり。「本当に第1位?」と思ってしまった。他にも何か良いミステリーがあったでしょって。この作品、ミステリーというよりも冒険小説っていうほうがシックリくるんじゃないだろうか。ただ、冒険小説としても、もう一つ・・・。
主人公の男と元妻。この二人のすれ違いと結び付きを理解するには私はまだまだお子様過ぎるのだろうか。私には12年前の二人のすれ違いは十分話し合いで解決できる程度のモノにしか感じられないのに、ふたりにとっては決定的なモノだったらしく、別れを選んでしまう。再会しても心が通い合わない二人。それは「素直になれない」という理由ではなく、別れてからそれぞれに歩んだ人生が異なるからだと私には思えた。なのに今度は、結構簡単に結び付いてしまう。作者が二人を通して描く恋愛感に共感できなかった。
誰の手も借りずに最後まで自分ひとりの手で決着を付けようとする主人公の姿勢もどうかと思った。本当に生徒の身を案じているのなら、何よりも生徒の安全を最優先に考えるのなら、彼が取るべき行動は一人で敵地に乗り込んでいくことではなかった筈だ。自分がスーパーマンで無い事を理解している私は、そう思う。
男と女の関係は単純でないことも理解しているし、孤独な戦いに挑む男のカッコ良さってのも解る。でもこの作品の主人公のキャラはそれらが似合うような雰囲気をまとっていなかった。何と言うか行動や言動とキャラの設定がミスマッチというか・・・。上手く言えないけど、結局「この作品は私には合わなかった」ってことなんでしょう。「第1位」に選ばれている以上、私の理解を超えた何かが存在しているのかも知れませんが・・・。
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)




最近のコメント