生きてるうちに、さよならを
著者:吉村 達也
刊行:2007年10月
評点:★★★★★★★☆☆☆ 7点
ストーリー:一部上場企業の社長である本宮直樹は、参列した古い友人の葬儀で述べられるワザとらしい弔辞が嫌になり、生前葬について真剣に考えるようになった。「生きてるうちに、さよならを」パーティーを開催して人生を一度リセットし、愛人とその後の人生を送るのだ。そんな時、妻が病に犯され余命半年であることが解った。本当の妻を知ろうともしなかったことに初めて気付いた直樹は、妻の生地を密かに訪ね、おとなしいだけが取柄と思っていた妻の激しい情念に彩られた悲しい過去を知る。だが、妻から病を告白された以上の衝撃的な運命が、その後の直樹に待っていたのだった。
感想:この作者の作品を読むのは初めてだったので作風を理解していなかったから、背表紙に書かれた内容だけを頼りに本書を購入した。それを書いたのが誰かは知らないが、本書の前半しか読んでいないのではないか?はっきり言って、それを読んで私が勝手に想像していた内容と、本書は全くジャンルが異なるものだった。
でもかえって裏切られて良かったと思っている。本書は「サスペンス」に分類されると思うけど、最後に明らかになる事実は衝撃的だった。長い間、密かに静かに夫婦は狙われていたのだ。主人公も身勝手だしその妻も自分で蒔いた種である訳だけれど、それ以上に復讐に燃える女は恐ろしい。静かに長く、あれ程の憎悪を抱き続けることができるなんて。復讐だけを胸に秘めて送る人生は、私には不幸だとしか感じられなかった。
それにしても、本書の前半部分からこういったラストは想像できなかった。だから裏表紙に書かれた内容も「前半だけを読んで書いたのでは?」と思った訳だ。いつの間にか「サスペンス」に変っていた。誰かに告白する「手紙」のような書き方になっているから余計にそう思ったのかもしれない。最初は戸惑ったけど結構お気に入りの作家になりそうな気がする。
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