ホームレス中学生
著者:田村 裕
刊行:2007年9月
評点:エッセイのため対象外
ストーリー:明日から夏休みだというある日、中学3年生の田村少年が学校から返ってくると、玄関に「差し押さえ」と書かれた異常に存在感のある黄色いテープがクロス状に張られていた。父に「解散!!」と告げられた田村少年は兄や姉とも離れ、一人公園で寝泊りすることに。中学生なのにホームレス。寝床はマキフンの形をした滑り台。草を食べ、ダンボールをしがみ、鳩の餌を奪い、野犬と睨み合い、雨をシャワー代わりにした生活。そんな生活の中で出会った暖かい人々。今、振り返って改めて思う。僕は、お湯に感動できる幸せのハードルの低い人生を愛しています。
感想:単純に面白い。そして感動した。表現はつたないかも知れないが、自分の言葉で書かれているからだろう、胸に迫ってくるものがある。爆笑問題の太田さんが「今の小説はつまらない。お笑い芸人が書く本のほうがよっぽど面白い」と言うようなことを言っていた。そこまでは言わないが、この田村にしても劇団ひとりにしても、「物を書くこと」を職業としている人達とは違った才能を感じる。
この本を読むとこれまで断片的にしか情報が無かった田村のホームレス時代のことが体系的(?)に理解できる。フツーの中学生では簡単に受け入れられない状況をとりあえず受け入れ、公園で寝泊りし始めた田村はただの馬鹿なのか大物なのか?言えることは、彼は愛すべきキャラクターの持ち主だということだ。そんな彼だから周りの人も愛情の手を差し伸べる。そして彼はそれを無邪気に喜ぶ。「素直」。単純なことだが結構難しく、なかなかなれるものではない。田村は天然の「超」素直なのだ。幸せに生きるためのヒントが一つ、ここにあるような気がする。
「幸せのハードルの低い人生」。だけど決して人生をあきらめている訳では無い。実際田村は前向きに芸人人生を歩んでいる。周りの人々に感謝しながら。幸せのハードルが低いからこそ、些細なことに喜びを見出し、それが次へつながる活力となっている。普通の人なら人のせいにしてしまって「最悪だ」と投げやりになってしまうような人生でも、彼は楽しんでいる。人生において色んな言い訳が出来るけれど、結局その人生を送るその人次第なのだろう。私も見習わなくては。
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