銀のエンゼル
著者:鈴井 貴之
刊行:2004年12月
評点:★★★★★☆☆☆☆☆ 5点
ストーリー:北島由希は二年ぶりに故郷の北海道に帰って来た。見慣れた景色を眺めながら、帰って来たことを少し後悔する。心にある傷を、両親や友人に見透かされないだろうか。
「夏休みだから」としか言わないが、父も母も、由希の笑顔の中に影を感じ取っていた。それでも変わらず迎えてくれる母、相変わらず不器用な父、懐かしい友達。「帰ってきてよかった。ほっとするよ」。二年前、この町を出て行くことが全てだった。でも、ずっとハズレだと思っていた町が、今は一番愛おしい。
感想:小説でもドラマでも、北海道が舞台になるとそれだけで何か特別なイメージを抱いてしまう。広大な大地、厳しい自然、純朴な人々。まずそういった背景を当たり前のように、勝手に自分のなかで設定してしまう。「北の国から」の影響も多々あると思う。
都会に憧れ出て行く若者。地元に残って農家を継ぐ者。都会に疲れて帰って来る若者、昔と変わらず若者を迎える残った者、そして癒される帰って来た者。こういうことって、北海道に限らず、全国の、そして大都会東京でもありえることだろうけど、北海道が舞台になるとやはり少し違ってくる。ありふれたストーリーなのに。この作品でも、由希は故郷北海道に帰って来て、癒されている。展開が分かっているだけに安心して読めるのだろうか、読むほうも癒される。
タイトルになっている「銀のエンゼル」は、私も小さい頃に集めた。そして由希と同じように、5枚集める前にいつのまにかいままで集めた銀のエンゼルはいなくなってしまった。金のエンゼルにはまだ出会ったことが無い。「中川は由希が持っていた菓子、チョコボールを思い出していた。いつもアタリばかりじゃない。ハズレがあるからアタリの喜びを知ることができる。アタリを求めて人はハズレでもがき苦しむのだ」。私も今までいろんなハズレを経験してきた。そして、少しのアタリも。それらのアタリは「銀のエンゼル」くらいのアタリだった。いつか「金のエンゼル」クラスのアタリに出会いたいと思う。
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