サンプラザ中野

大きな玉ネギの下で

<小説>大きな玉ネギの下で 

著者:サンプラザ中野

刊行:2005年4月

評点:★★★★★★☆☆☆☆ 6点

ストーリー:1985年、関東平野の北、県立高校3年生の木島夕子は、隣のクラスの飛田君に借りた「爆pスタンプ」のレコードを聴いて、いっぺんにファンになってしまう。金曜日深夜には必ずサンパウロ中野の「オールナイト日本」を聞き、新曲が発売になれば、街に一つしかない駅前のレコード店に駆け込んだ。ある日、夕子は偶然受けた雑誌の取材をきっかけに、都内の予備校生と文通を始める。二人とも「爆pスタンプ」の大ファン。文通を重ね、1985年12月13日金曜日爆pスタンプの武道館コンサートで初めて会おうと約束する。だが、「あの大きな玉ネギの下で会いましょう」という約束はかなえられないのだった・・・。

感想:正直に言って、この作品の「感想」を書くのは非常に難しい。と言うのも、私はこの本のタイトルとなっている曲「大きな玉ネギの下で」が大好きだからだ。正に名曲中の名曲。実際に九段下の駅を降りて、坂道を登って、大きな玉ネギを始めて見た時、「これか・・・」と感動したものだ。そいう思い入れがあるためか、どうしても贔屓目で見てしまう。

それでもあえて言うなら・・・、途中で文通相手の正体が何となく解ってしまうのは残念だった。「えー!!」という驚きも無く・・・。あと、コンサート以降の男の行動が無責任過ぎる。いくら何が起こっているか知らなかったと言っても、一人で待ち続けた夕子が可哀そう。夕子と両親と夕子の先生が取った選択も、どう考えても私にはBESTとは思えない。後で振り返って結果論からそう思う訳ではなく、最初から「それは違うでしょ?」と思った。「自業自得とは言え、何も知らないまま勝手に大事なことを決められてしまう男の方はどうなるの?」って。

などなど、純粋にこの小説だけを評価するなら少々厳しくなってしまうのだけれど、私の青春時代と正にリンクする背景のせいもあって、やはり贔屓目になってしまう。ところどころに登場する「麦麦クラブ」「尾先豊」「海バンド」などの固有名詞も、誰のことを言っているのか一目瞭然で、まさに私の青春時代。爆pスタンプが「夜のヒットスタジオ」や「ザ・ベストテン」に初出演するくだりは、実際に私もテレビで見ていた。私の記憶通り「サンパウロ中野」は暴れまわっていた。

高校生の夕子が友達と交わす会話。好きなバンドをコピーしたり、深夜ラジオに夢中になったり、文化祭で盛り上がった後何もなかったように普段の関係に戻ってしまったり、受験勉強で図書館に通ったり、好きな相手のことが気になったり。「自分も高校時代はこうだったなぁ」と思い出せて懐かしかった。でも、メールや携帯電話が当たり前になってしまった今の世代には、「文通」を通して描かれる二人の関係って理解できるのかな?

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