綿矢 りさ

蹴りたい背中

蹴りたい背中 (河出文庫 わ 1-2) 

著者:綿矢 りさ

刊行:2003年8月

評点:★★★★☆☆☆☆☆☆ 4点

ストーリー:わたしはクラスの中で浮いていた。1日誰とも話さない。お弁当も1人で食べるし、グループ分けになると1人余る。でも、つまらない話題で盛り上がってまでどこかのグループに入りたいとは思わない。クラスにはもう1人浮いている男子「にな川」がいた。モデル“オリチャン”の熱狂的なファンだった。中学生の時に偶然オリチャンと出会ったことのあるわたしは、にな川の部屋に招待される。わたしなどまるで存在しないようにオリチャンに夢中になるにな川。無防備なその背中を、わたしは無性に蹴りたくなった。

感想:「19歳の女の子が書いた」と言われれば「おぉ」と思うけれど、「芥川賞受賞作」と言われると「んー?」って思う。この年芥川賞を同時受賞した「蛇にピアス」はまだ読んでいないけど、正直「他になかったの?」って感じだ。

19歳の作品に感情移入できなかった訳でもない。周りの友達のレベルが低いと一人で勝手に判断して「私は違うから」と孤独をごまかしたり、仲の良かった友達が新しい友達の方にシフトして行って、寂しいのだけれどプライドが邪魔して追いかけたり一緒につるむことが出来なかったり。そういうところは解る。19歳が書いただけに他の作家が書くよりもリアルに表現されていたと思う。でも、それにしても主人公の長谷川初実は自分勝手だ。もし私が同級生だったなら、「どーぞ一人で自分の世界に浸ってて」って感じ。

同じようにクラスで浮いているように見えるにな川だけど、実は初実と全然違う。にな川は浮いていることを全く気にしていない。って言うか気付いていない。そこが初実の興味を引いたのだろう。孤独を感じながら強がっている初実には信じられなかったはずだ。この初実が感じた「興味」は、果たして「恋」なのか?初実自身は否定している。初実の唯一の友達、絹代は「恋」と決め付けている。私には良く解らなかった。どちらかと言えば恋じゃない気がする。あえて言うなら、捨て犬を「なんか可愛い」と感じる、上から見下ろすような「好意」かな。今のま、同じ綿矢りさの作品なら「インストール」のほうが面白かったかな。

10代はそれを「恋」と呼び、初実のような行動を「愛情表現」と呼ぶのだろうか?「おっさん」になってしまった私には良く解らない。

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