檸檬のころ
著者:豊島 ミホ
刊行:2005年3月
評点:★★★★☆☆☆☆☆☆ 4点
ストーリー:田舎の高校を舞台にした短編集。
クラスになじめず登校してもずっと保健室にこもったままの友達。自分が感じる友情を、もうその友達は持っていないと感じる女の子の話。
全くパッとしない高校生活を送り、「向こう側」へ行くために司法試験を受け続けては失敗を繰り返す。祖父の病気をきっかけに実家に戻ってきた男が、高校時代憧れていた男の同級生に再会する話。
中学時代、特別に仲の良かった男の子と女の子。同じ高校に進学してから何故かぎこちない関係になってしまう。本当はまだ女の子のことが好きなのに、もうどうすることも出来ない男の子の話。
学生寮を経営する一家。「寮内恋愛禁止」の決まりを無視して付き合う男の子と女の子。二人を説得することになった、元は彼らと同じ高校生だった一家の娘の話。
音楽にしか興味が無くクラスに全くなじめない女の子が、突然クラスの男の子に恋をする話。
登校しても授業にでない女の子。その女の子を「担任だから」という理由で説得しようとする教師。「生徒はなにもわかってくれない」と諦めているが、かつて自分も「先生はなにもわかってくれない」と諦めていたことに気付く話。
女の子は東京の大学へ、男の子は地元の大学へ。春になれば離れ離れになる二人。好きな彼と別れると判っていても東京へ行こうとする女の子の話。
ふつうの人々の、ふつうの毎日の話。
感想:まさに「ふつう」の話の連続。特に何か事件がおこる訳でなく、激しい恋愛が展開される訳でもない。でも、確かに自分の高校時代もこんな感じだった。そして、今振り返ればそんな「ふつう」の出来事も当時は結構「ふつうじゃない」出来事だったりしたものだ。授業をさぼったり、誰かを好きになったり、同性の友達に劣等感を抱いたり、先生ともめたり。今考えるとどうでも良い事が、あの時はことごとく大きな意味を持っていたように思う。毎日がそんな連続だったから、当時はそれが意味を持っているとも気付かなかったけれど。「ふつうの毎日」を描いても、こんな風に作品になるのですねぇ。作者が女性だからでしょうか、男性が主人公であってもどこか女性の視点を感じたりして、それがもう一つ共感できなかったですが、自分の高校時代を思い出して懐かしい気持ちになった。特に第3話「ルパンとレモン」では、ある女の子のことを思い出してしまった。
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